農地の転用に関する質問
№ | 質問と回答 | 補足説明 | |
Q: 農地の転用は誰に相談するのが良いですか A: 農地の転用には都道府県知事等の許認可が必要になります。 許認可申請手続きは、原則、行政書士の独占業務になっていますので、先ずは行政書士に相談するのが良いでしょう。その後、登記や税務関係等の手続きが必要になれば、登記や税務を独占業務としている司法書士や税理士等と連携して手続きを進めることになります。 | |||
Q: 農地を手放す場合、農地法の規制を受けるみたいですが、農地法とはどんな法律ですか A: 農地は我が国の食料自給率といった食糧安全保障上の骨幹をなすものです。そこで、国内農地での食糧生産を維持し国民に安定的な食糧供給を目的として、農地の売買や転用を規制する法律が「農地法」です。 | 農地法は国内生産の基盤である農地が国民にとっても地域においても限られた貴重な資源であることから、農地を農地以外に転用することを規制すると共に、農地の効率的な利用を促進して農業生産の増大と国民に対する食料の安定的な供給を目的にした法律です。 | ||
Q: 農地を他の目的に転用したいと思うのですが、なぜ自分の土地(農地)なのに自由に転用できないのですか。また転用できない農地ってあるのですか。 A: はい、農地の場合、自分の土地だからと言って勝手に売却したり転用したりすることは法律で制約を設けています。 因みに農地は法令等でいくつかの種類に区分されています。原則として、①農用地区内の農地は許可されません。また、②甲種農地及び③第1種農地は原則不許可ですが、例外規定があります。④第2種農地は規定の要件を満たせば条件付きで許可が下りることがあります。転用しようとしている農地がどの様な区分に該当するかによって結論が異なってきます ので、行政書士に相談されることをお勧めします。 | |||
Q: 農地を転用しようとする場合、誰の許可が必要になりますか A: 農地や採草放牧地を賃貸又は売買する場合、農業委員会や都道府県知事又は農水大臣の許可が必要になります。許認可申請等の手続き方法は転用の形態によって異なりますので、細部については行政書士に相談されると良いでしょう | |||
相続 | |||
Q: 農地を相続しました。引き続き農家として営農するつもりでいます。どの様な手続きが必要でしょうか A: 農地を相続した後も農業を続ける場合、農業委員会への届出等が必要になります。他方で、税金の関係で「営農証明」や「相続税の納税猶予申請」等、いくつかの手続きが必要になる場合があります。一般的には行政書士による 許認可申請手続きの後に、司法書士による土地の登記手続きの流れになることが多いでしょう。また、その間に税務関係等の手続きが必要になれば、税理士等と連携して手続きを進めることになります。 | 法律により、必要な書類や証明書等の届出・申請等の手続きは行政書士に、相続税等の税金関係は税理士に、土地の登記は司法書士にお願いすることになります。 | ||
Q: 農業(養畜業)を営んでいた夫が他界したので、農地(採草放牧地)を子供たちに遺産分割(相続)したいと思います。手続きには何が必要ですか。 A: 先ずは遺産分割に関する手続きを行う必要があります。 遺言書があれば遺言に基づき、遺言書が無い場合は「遺産分割協議」に基づき遺産分割を実施することになるでしょう。農地を相続した後も農業(養畜業)を続ける場合、農業委員会への届出等が必要になります。遺産分割が終わったら、相続した農地(採草放牧地)の登記、税務上の各種手続きを行います。相続した農地での営農を行わない(売却、賃貸等)場合には、農地転用の許可申請手続き等が必要になります。一般的に届出・許認可申請等に係る手続きは法律により行政書士の業務になっていますので、先ずは行政書士に相談するのが良いでしょう。その後、登記や税務関係等の手続きが必要になりますので、法律で登記や税務を業務としている司法書士や税理士等と連携して手続きを進めることになります。 | |||
農地法第3条転用 | |||
Q: 「農地法第3条転用」とはどのような転用ですか。 A: 「農地⇒農地」、「採草放牧地⇒農地or採草放牧地」に転用しようとする場合で、農地(採草放牧地)そのものは維持されますが、その所有者や使用者(権利者)が第三者に替わる場合に適用されます。 第3条転用では、当事者双方が許認可申請を行う必要があります。 | |||
Q: 農業(養畜業)を営んでいますが、農業(養畜業)を辞めようと思っています。農地(採草放牧地)は自由に処分(売却や転用等)できますか。 A: 農地法等の規制を受けるので、農地(採草放牧地)を処分(売却や転用等)するには許認可申請が必要になる場合があります。 例えば、農地(採草放牧地)をそのまま営農者に売却又は賃貸の場合等は「農地法第3条」の規制を受けます。また、ご自分の農地をそのままに農業以外の目的又は採草放牧地にする場合等は、「農地法第4条」の規制を受けます。更に、第三者に農地を農業以外の目的又は採草放牧地として、もしくは採草放牧地を採草放牧地以外に使用する目的で売却する場合等は「農地法第5条」の規制を受けます。この様に、処分の方法によって許認可申請の内容も異なってくるので、細部については行政書士に相談すると良いでしょう。その後、登記や税務関係等の手続きが必要になりますので、法律で登記や税務を業務としている司法書士や税理士等と連携して手続きを進めることになります。 | |||
Q: 農業(養畜業)を営んでいますが、高齢になり農業(養畜業)を続けることが難しくなりました。子供たちは農業(養畜業)を継がないと言っていましたが、幸いなことに知人(親族以外)が私の農地(採草放牧地)を使って今まで通り農業(養畜業又は採草放牧地を農地にして農業を行いたい)を続けたいと言ってくれています。農地を売却するにあたって必要な手続きを教えてください。 A: このような場合は、「農地法第3条」が適用され、許認可申請手続きが必要になります。また、営農を引き継いでくれる知人にも農作業に常時従事すること等の証明が求められます。なお、売却ではなく賃貸するという選択肢もあると思います。賃貸の場合には相続税の納税猶予の特例を受けられて安定的な賃貸収入も得られる農地中間管理機構への農地の賃貸や市民農園等に利用するための賃貸等の方法もありますので、最も良い方法について一度行政書士に相談してみては如何でしょうか。また、高齢や疾病、身体障害等を理由に営農が困難になった場合には税制優遇措置が活用できる場合があります。その後、登記や税務関係等の手続きが必要になりますので、法律で登記や税務を業務としている司法書士や税理士等と連携して手続きを進めることになります。 | |||
Q: 営農しない場合の農地の活用方法と注意事項を教えてください。 A: 相続等を理由に農地等を所有することになったものの様々な理由で農業を継げない方も多くおられることと思います。その場合、所有する農地等を有効活用するために売却(農地法3条又は5条)、賃貸(農地法第3条)もしくは自宅を建てる等(農地法第4条)の活用を考える方も多いと思います売却、転用する場合には、先ずそれが可能な農地であることを確認する必要があります。 もし売却、転用が可能な農地であることが確認出来たならば、そこで初めて法律に基づき必要な許認可申請等の手続きを進めることになりますが、農地活用(処分)の方法によって許認可申請の内容も異なってきます。一般的に届出・許認可申請等に係る手続きは法律で行政書士の業務になっていますので、先ずは行政書士に相談してみてください。また、売却や賃貸をお考えの場合には、宅地建物取引士や賃貸不動産経営管理士等の助言を貰うと良いでしょう。 | |||
農地法第4条転用 | |||
Q: 「農地法第4条転用」とはどのような転用ですか。 A: 農地の所有者や使用者(権利者)はそのままで、「農地⇒農地以外or採草放牧地」に転用しようとする場合に適用されます。4条転用には「一時転用」の場合も含まれます。 第4条転用では、新たに転用しようとする者が許認可申請を行う必要があります。 | |||
Q: 農地に農業用施設を建てたいと思います。農業用施設であれば農地に自由に施設を建てることが出来ますか A: この場合、農地の所有権はそのままで、その土地で農業は実施しない形になりますので、農地法第4条に基づく農地転用の許認可申請手続きが必要になる可能性があります。先ず、転用可能な農地であるか立地規制要件及び一般基準要件を満たしていることを確認する必要があります。 要件を満たしていると判断された場合は、必要な農地転用の許認可申請又は届出の手続きをすることが出来ます。また、転用農地の立地条件や規模によっては許認可が不要になる場合もあれば、逆に農業法に加えて都市計画法等、その他の法令による制約を受ける場合もあります。一般的に届出・許認可申請等に係る手続きは法律で行政書士の業務になっていますので、先ずは行政書士に相談してみてください。 | 都市計画法:農林漁業用建築物(例:畜舎、温室、サイロ等)であっても、その土地が都市計画区域の「市街化区域」にあって1000㎡以上(又は条例で定める規模)を超える場合は、都道府県知事の「開発許可」が必要 | ||
Q: 自分が所有する農地の一部または全部を採草放牧地に変更して養畜業を始めたいと思います。農地を自由に採草放牧地に替えることに問題はありませんか。 A: はい、可能です。この場合は農地の所有権はそのままに、農地の使用目的が替わる(転用)ことになりますので農地法第4条に該当します。第4条では農地から採草放牧地への転用は可能です。この場合は届出の手続きが必要になります。届出・許認可申請等に係る手続きは法律で行政書士の業務になっていますので、先ずは行政書士に相談してみてください。 | |||
Q: 自分が所有する農地の一角を宅地にして子供が住むための住宅を建てたいと思います。必要な手続きはありますか。 A: この場合、農地の所有権はそのままで、子供への使用貸借(無料で使用を認める)契約に基づき自宅の建設をする形になりますので、農地法第4条に基づく農地転用の許認可申請手続きが必要になります。先ず、転用可能な農地であるか立地規制要件及び一般基準要件を満たしていることを確認する必要があります。 要件を満たしていると判断された場合は、必要な農地転用の許認可申請又は届出の手続きをすることが出来ます。 また、転用農地の立地条件や面積規模によっては許認可が不要になる場合もあれば、逆に農業法に加えて都市計画法等、その他の法令による制約を受ける場合もあります。一般的に届出・許認可申請等に係る手続きは法律で行政書士の業務になっていますので、先ずは行政書士に相談してみてください。 | 都市計画法 | ||
農地法第5条転用 | |||
Q: 「農地法第5条転用」とはどのような転用ですか。 A: 「農地⇒農地以外or採草放牧地」、「採草放牧地⇒採草放牧地以外」に転用しようとする場合で、使用目的だけでなくその所有者や使用者(権利者)も第三者に替わる場合に適用されます。5条転用には「一時転用」の場合も含まれます。 第5条転用では、当事者双方が許認可申請を行う必要があります。 | |||
Q: 自分が所有する農地の一角を子供に譲渡して子供たちが住むための住宅を建てたいと思います。必要な手続きはありますか。 A: この場合、農地の所有権が子供に移転することになります。また、譲渡された土地には住宅が建てられるので農地でなくなります。このような場合は農地法第5条に基づく農地転用の許認可申請手続きが必要になります。先ず、転用可能な農地であるか立地規制要件及び一般基準要件を満たしていることを確認する必要があります。 要件を満たしていると判断された場合は、必要な農地転用の許認可申請又は届出の手続きをすることが出来ます。また、転用農地の立地条件や面積規模によっては許認可が不要になる場合もあれば、逆に農業法に加えて都市計画法等その他の法令による制約を受ける場合もあります一般的に届出・許認可申請等に係る手続きは法律で行政書士の業務になっていますので、先ずは行政書士に相談してみてください。その後、登記や税務関係等の手続きが必要になりますので、法律で登記や税務を業務としている司法書士や税理士等と連携して手続きを進めることになります。 | 都市計画法 | ||
Q: 農地を相続したのですが、農業は行わないのでその土地を売却したいと思います。農地を宅地にして売却はできますか。 A: 農地には多くの規制がかけられているので、簡単に農地以外の目的に転用することはできません。 例えば、農地を農業以外の目的に使用する他人に売却する場合は、農地法第5条に規定する転用にあたり、都道府県知事の許可や農業委員会への届出等の許認可手続きが必要になります。先ず、転用可能な農地であるか立地規制要件及び一般基準要件を満たしていることを確認する必要があります。 要件を満たしていると判断された場合は、必要な農地転用の許認可申請又は届出の手続きをすることが出来ます。 また、転用農地の立地条件や面積規模によっては許認可が不要になる場合もあれば、逆に農業法に加えて都市計画法等、その他の法令による制約を受ける場合もあります。一般的に届出・許認可申請等に係る手続きは法律で行政書士の業務になっていますので、先ずは行政書士に相談してみてください。なお、故人が農業を行うことを条件に固定資産税等の優遇措置を受けている場合は、それに係る手続きや税金の納付等も必要です。税金に関する申請手続き事項等は税理士のお仕事になります。 | 都市計画法:市街化区域内で1000㎡以上の土地に営農者の 住宅建設するには開発許可が必要 国土利用計画法:一団の土地(市街化区域内:2000㎡以上、 市街化区域以外の都市計画区域:5000㎡以上、都市計画区域外:10000㎡(1ha)以上)を対価を得て移転設定する場合、買主は2W以内に都道府県知事に事後届 ※単に相続の場合、農地法3条の許可を受けた場合は不要 農地法:3条、4条、5条 固定資産税の納税猶予 | ||
Q: 農業を営んでいますが、高齢になり農業を続けることが難しくなったので所有している農地を売却したいと思います。農地購入予定者は購入した農地を農業以外又は採草放牧地に使用するとのことです。必要な手続きを教えてください。 A: この場合、農地の所有権が他人に移転することになります。また売却された土地に住宅が建てられるので農地でなくなります。このような場合は農地法第5条に基づく農地転用の許認可申請手続きが必要になります。先ず、転用可能な農地であるか立地規制要件及び一般基準要件を満たしていることを確認する必要があります。要件を満たしていると判断された場合は、必要な農地転用の許認可申請又は届出の手続きをすることが出来ます。 一般的に届出・許認可申請等に係る手続きは法律で行政書士の業務になっていますので、先ずは行政書士に相談してみてください。また売却の場合には、宅地建物取引士や等の助言を貰うと良いでしょう。故人が農業を行うことを条件に固定資産税等の優遇措置を受けている場合は、それに係る手続きや税金の納付等も必要です。登記については司法書士が、税金に関する申請手続き事項等は税理士のお仕事になります。なお、5条に基づく手続きにおいては、転用事業の進捗状況や転用事業完了時の報告等も必要になりますのでご注意ください。 | |||
Q: 養畜業を営んでいますが、高齢になり養畜業を続けることが難しくなりましたので所有している採草放牧地を売却したいと思います。採草放牧地購入予定者は購入した採草放牧地を他の目的に使用するとのことです。必要な手続きを教えてください A: このような場合は農地法第5条に基づく農地転用の許認可申請手続きが必要になります。先ず、立地規制要件及び一般基準要件を満たしていることを確認する必要があります。 要件を満たしていると判断された場合は、必要な農地転用の許認可申請又は届出の手続きをすることが出来ます。 一般的に届出・許認可申請等に係る手続きは法律で行政書士の業務になっていますので、先ずは行政書士に相談してみてください。また売却の場合には、宅地建物取引士等の助言を貰うと良いでしょう。その後、登記や税務関係等の手続きが必要になりますので、法律で登記や税務を業務としている司法書士や税理士等と連携して手続きを進めることになります。なお、5条に基づく手続きにおいては、転用事業の進捗状況や転用事業完了時の報告等も必要になりますのでご注意ください。 | |||
Q: 農地を「農作物栽培高度化施設」の用地にしたいと思います。どの様な手続きが必要になりますか A: 「農作物栽培高度化施設」の用地への転用は、農地法第5条に基づく農地転用の許認可申請手続きが必要になります。 許認可申請に際して事業執行法人や事業計画等の資料も必要になります。 一般的に届出・許認可申請等に係る手続きは法律で行政書士の業務になっていますので、先ずは行政書士に相談してみてください。 | |||
一時転用 | |||
Q: 一時的に農地を農業以外の他の目的に使用(一時転用)したいのですが、どの様な制限がありますか A: 農地を一時的に転用する場合であっても「一時転用」の許認可申請を届け出る必要があります。また一時転用に使用することが可能な農地には、広さの制限や一時転用の期間の制限、また一時使用の後は確実に農地に復元されること等の条件があります。 細部は行政書士にご相談ください。 | |||
農振除外申請 | |||
Q: 農振除外とはどんな手続きですか A: 今後長期にわたり農業を振興する地域として「農業振興地域(農振地域)」が指定されています。東京都では八王子市、青梅市、あきる野市、瑞穂町、日ノ出町に指定された地域が存在します。 農振地域内の農地転用は原則禁止されています。したがって、農振地域で農地の転用をしようとする場合、先ずはこの農地を「農振地域」から除外する手続き(「農地利用計画の変更」)を経た後に農地転用のための許認可申請手続きを執る必要があります。この農地振興地域から除外する手続きを「農振除外手続き」と呼んでいます。 この手続きには行政が策定した「農地利用計画の変更承認手続き」が必要になりますので、一般的に許認可が下りるまで長期間を要します。 | |||
農転許可後の手続き等 | |||
Q: 農地転用許可が下りた後に必要になる手続き等は何ですか A: 4条及び5条関係の転用では、転用事業の進捗状況、事業の完了、事業計画の変更等について報告及び申請が義務付けられています。 | |||
Q: 農地転用した場合の税金に係る事項について教えてください:租税特措法(相続税の納税猶予申請) A: 今まで農業を行ってきた営農者の方々の多くは税金の優遇措置を受けてきたと思います。営農を継続する場合はそれらの優遇措置の継続手続きが必要になります。一方、農転により離農した場合にはそれらの税制優遇措置が受けられなくなったり、多額の納税義務が発生したりする可能性がありますので注意が必要です。お悩みの場合、一般的な相談であれば行政書士やファイナンシャルプランナーに、具体的な税金の計算等に関しては税理士に相談するのが良いと思います。 |